シミュレーションゲームの一ジャンルとして、将棋やオセロ、チェスなどのボードゲームがあります。
ボードゲームだと対局してくれる相手を探さなければなりませんが、PC版だとコンピューターが相手をしてくれるので、相手探しをしなくてもすぐにゲームを始めることができます。
そのため、将棋好きな方などを対象として、パソコンと対戦できる多くの将棋ソフトが誕生をしました。
人工知能の開発
将棋ソフトの開発は、人工知能ソフトの開発とも言えます。 人間が考える「対局での先読み」や「今後の戦略方針」、「全体的な大局観」などの総合的な判断や思考をプログラム化する必要があるからです。
初期の将棋ソフトはコンピュータ将棋と呼ばれ、主に人工知能の研究として大学の研究室で開発が進められていました。 様々な大学の研究室で研究をされていたようですが、その中で有名なのは早稲田大学と大阪大学、そして東京農工大学です。
初期のコンピュータ将棋は、アルゴリズムがお粗末だったせいか、人ならあり得ないようなミスを連発していたそうです。 将棋の有段者と対局をしたこともありましたが、子供相手に将棋を指しているぐらいのレベル差がありました。
世界コンピュータ将棋選手権
パソコンが普及をし始めた1980年代以降、様々な将棋ソフトが開発をされました。
その様な状態の中で、どの将棋ソフトが実力No1なのかを決定しようという当然ともいえる要望が出てきました。 その要望に答える形で、1990年に第1回目となる世界コンピュータ将棋選手権が開催をされます。
現在では、この大会は年1回開催をされ、現在では40種類ぐらいの将棋ソフトが大会に参加をしています。 第1回目の大会では、6つのソフトが参加をして、優勝ソフトは「永世名人」となりました。
プロ棋士
将棋ソフトが出始めた頃は、その実力はプロ棋士どころかアマチュア棋士にも勝てないような実力でした。
それがここ数年の間は、プロ棋士に勝ってしまうケースが出てきました。 2013年からニコニコ動画で有名なドワンゴで、将棋電王戦というプロ棋士と将棋ソフトの対局が行われています。 年5回ほどこの対局は行われているのですが、将棋ソフト側の勝率は5割ほどにも達しています。
このことから予想すると、あと数年でプロ棋士でもまったく歯が立たないような強さの将棋ソフトが出てくると推測されます。
将棋ソフトが強くなる理由
将棋ソフトは、「CPUなどのハードウェア」と「思考アルゴリズムを担っているソフトウェア」によって、その実力が決定します。
コンピュータのハードウェアが進歩することによって、単位時間当たりの計算能力が向上します。 すると、同じ時間の間により多くの思考パターンを試すことができるようになります。 また、思考アルゴリズムも出来るだけ短時間でベストな指し手を出せる様に改良が加えられています。
その結果、年を重ねるごとに将棋ソフトの実力は上がっています。